2020年01月01日

法律英単語ー憲法編

Barexamに向けて英単語を整理したノートを発見した。
自分の勉強も兼ねて貼っていこう.
まずは憲法編
※ 日本語訳はいい加減です
※ 私が覚えられなかった単語ですので,重要単語が抜けています。

事後処罰法    ex post fact
私権剥奪法    bill of attainder
  ※ 特定私人を無裁判で実質処罰する法律。違憲。
実行可能な利用  viable use 
  ※ すべてのviable useを奪う土地利用規制は「収用」=taking
正当な補償    just compensation ※ takingの際の補償
事前告知     prior notice
事後聴取     post-hearing
体罰       corporal punishment
武器保有権    right to bear arms
平等原則     equal protection
外人区別     alienage classification
文面上差別的   discriminatory on its face
中間審査基準      intermediary scrutiny
合理性基準    rational basis test
非嫡出      illegitimacy
投票権      voting right
一人一票     one-person one-vote
大選挙区制    at-large voting

宗教活動の自由   free exercise of religion
政教分離条項    establishment clause
宗教を抑制する   inhibit religion
過度の政治関与   excessive government entanglement 

内容規制      content-based restrictions
内容中立規制   content-neutral restrictions
捕われの聴衆   captive home audience
勧誘          solicitation
事前抑制      prior restraint
無制約裁量     unfettered discretion
違法行為の扇動  incitement of illegal activity
わいせつ物     obscenity
好色な関心     prurient interest
土地利用規制    zoning ordinance
冒涜的発言     profane speech
破壊的集団     subversive group

当事者適格     standing
治癒可能性     redressability ※「解決可能性」か?
確認判決       declaratory judgement
慎み,棄権    abstention
  ※ 連邦裁が州の主権を重視し判断を控える場合
上訴管轄       appellate jurisdiction
事件移送命令書   writ of certiorari 
  ※ 発音は「サーシオレアライ」
国会         congress
宣戦布告する   declare a war
執行権        executive power
総司令官       commander in chief
助言と承認       the advice and consent
恩赦          pardon
最高法規条項     supremacy clause
posted by 内田清隆 at 16:24| Comment(0) | TrackBack(0) | Barexam用法律英単語

2019年10月11日

エッセーにあげるべき事項

判例は不要
 過去10年で一つだけ,複数の最高裁判例を分析したうえで論じている憲法のsample answerがあった。
 しかし,ほとんど全てのsample answerでは判例について触れていない。
 よって,判例についてエッセーで触れることは不要であるし,加点にすらならない可能性も高い。

条文番号はごく一部以外は不要
 憲法については多くのsample answerで条文があげられている。よって,憲法にはついては条文番号をあげるべきであろう。
 証拠法についても,Prop8, FRE403, CEC352だけは条文番号があげられていることが多いし,それが加点になるという情報もネットで見たことがある。大した労力ではないので,それだけは,条文番号をあげておくべきだろう。
 その他については,条文番号をあげても加点されないと思う。
 民事手続についても,たまに条文あげているものもみたが,多くはあげていない。間違えるリスクやそれに要する時間を考えれば条文番号はあげるべきでないだろう。

法律名も不要
 法律名,規則名はABAを除き一切あげる必要がない可能性が高い。私は,そこには配点はないというネット記事をみつけ,また,あげていないsample answerも多かったので,上記条文番号をあげるとき以外は一切法律名,規則名はあげなかった。
 あげるとなれば,その分時間が取られるので,加点がないのであれば,あげないで済ませたい。

法の趣旨も不要
 日本であれば,ルールの根拠(rationale), つまり「法の趣旨」を論文では書くのが普通である。しかし,カリフォルニア州司法試験でこれを書いている人はほとんど見ないので,あげるべきではないだろう。
 むしろ,ついついあげてしまわないように,法の趣旨はあまりきちんと覚えないようにしていた。

改正前の法律は,まず不要
 コミュニティープロパティ―で顕著であるが,事案の発生日が,法改正前か改正後かで結論が変わる場合がある。その場合,改正前の法律についても議論する必要があるかという問題がある。しかし,議論していない答案が多数であり,議論不要であろう。
 少なくとも過去15年間ほどの問題を見たが,出題においては,すべて現行法が適用されている。そのため,そもそも勉強段階においては,改正前の法律は勉強せずに,現行法だけに勉強に集中させるべきだと思う。この点は,改正前も議論すれば,加点にはなるとは考えているが,essayでそこまで高得点を目指すことが私にはできなかった。
 もっとも,今後意表をついて,改正前の法律が適用されることがないとはいえないし,改正前法律も言及すれば,加点にはなりそうなので,余裕があれば勉強し指摘したい(しかし,カリフォルニア州司法試験の勉強で余裕がある人はほとんどいないであろう)。

その他のソースも無視すべき
 判例にしても条文にしても,ルールにソースをあげないのは,日本人的にはいい加減で落ち着かない。
 しかしながら,カリフォルニア州司法試験ではソースをあげないのが基本なので,ソースも根拠もなく,いきなり当然のごとくルールを書くことに慣れる必要がある。

posted by 内田清隆 at 11:57| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセーについて  

エッセーで必要な文字数

 sample answerやbaressays.comで高得点をあげている回答を見ると,高得点(70点以上)を出すには1200〜1500語が必要そうである。また,900語平均であれば,65点(合格点)を取ることは可能であると思う。しかし,その場合は,余事記載は許されない。
 カリフォルニア州司法試験のエッセーでは,余事記載には減点がないので,とにかく論点かもしれないと思われるものは,全部書くのが良いとされている。しかし,その作戦で合格点を取るには,やはり1200語ぐらい書ける能力が欲しい。

 私は,受験半年前の段階では平均600語ぐらいしか書けず,受験時になっても残念ながら平均900語ぐらいしか書けるようにならなかった(本番は950語くらいまでいけたかもしれない)。もう少し,少ない語数(例えば平均800語)しか書けなくても,合格は可能だと思うが,書ける量が少なくなればなるほど,短い文章で,余事記載なく的確に書かなければいけなくなり,ハードルはどんどんあがっていく。

 自分の場合は,基本的に余事記載(点にならない論点issueの記載)は,許されて一つという感じであった。そのため,通常以上に, 論点抽出issue spottingの正確性が要求された。しかし,自分にとっては,早く英語の文章を書く能力を身につけるよりは,正確な論点抽出の方がまだ楽であった。

 なお,合格点に必要な語数は,出題内容によって大きく異なる。600語で足りる問題もあるし,1200語欲しい問題もある(模範解答例の長さの差をみれば,一目瞭然である)。上記はあくまでも平均である。

 そのため,回答にあたっては,必要な長さを考えて書くことも重要である。問題文を読んで,おおよそ必要な長さを理解し,それに合わせて,適宜,省略気味に書く技術である。

 よほど早く英語を書ける人以外にとっては,カリフォルニア州司法試験のエッセーは常に時間との勝負である。その中で,多くの問題を実際に書いてみて,1時間で自分が書ける量についての体内時計を作っていくことが重要だと思う。

 試験後すぐに,その能力は失われてしまったが,試験当日は,「このぐらいの勢いで書いていくと何語ぐらいで何分ぐらいで終わるな〜」というのが的確に予想できていた。そんな体内時計を作るためには,やはりきちんと時間を測りながら多くの問題を解くのが重要だろう。
posted by 内田清隆 at 11:49| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセーについて  

2019年10月08日

MBEで高得点をあげるには

 エッセーは人間が採点するので,かなり主観的に採点されているというのはよく聞く話だ。その証拠に,first readとsecond readで,点数の差が著しかったという話もよく聞く。
 私は,そもそも英語力の問題でessayで高得点をあげるのは不可能であったが,採点者の主観的判断によって運悪く合格できないといった事態を避けるためにも,MBEで高得点を目指すというのは,必要な戦略なのであろう。

 私は,最終的には,MBEで高得点をあげられるようになったと思うし,掲示板などを見てみると,MBEで苦戦している人も多く,MBEでの高得点が合格できた大きな理由の一つであったと思う。

 私が取り組んだのは,多くの人と同様Adaptibar, Emanuel, Barbri問題集である。3000問ほどやったが,MBEは一定のパターンがあるので,まずは多くの問題に取り組むことが大切だと思う。 

 それ以前に重要なことは,当然のことながら,各科目をきちんと理解していることかと思う。Emanuelは,MBEに必要な様々な「技術」を教えてくれるし,多くの問題をやることで様々なコツ=技術が身につく。
 しかし,小手先の技術で5〜10問は正解を増やすことはできても,基本的な理解がなければ,限界があることは当然だ。
 高得点を取るためには,まずは,講義を聞いたり,基本書を読んで判例を読んだりという当たり前の勉強をして「理解」することが重要ではないかと思う。

 自分としては,他の受験生よりやったのでは?と考えていることは,分からない部分を時間をかけて調べるという行為である。
 平均1日20問を解いたが,問題を解いて回答を見るという作業は1時間で終わらせた。一方で,復習は1時間,場合により2時間,3時間とかけてじっくり行った。
 理解できないことがあると,根本に戻り,条文・判例・論文を調べ,それらをまとめてノートに書いて,同ノートをきれいにまとめ,定期的に復習するという作業である。
 受験直前は,そのような遠回りの作業に時間をかけ過ぎたかと思い反省していたが,遠回りなようでもそれが高得点に結びついたのかもしれないと受験が終わってから思ったりもした(一方で,やっぱり遠回りだったかなとも思っており,よく分からない)。

 なお,そもそもとしてMBEで何点を目指すのかという目標設定が重要だと思う。
 私は,とにかく英語力の問題でエッセーに自信がなかったため,MBEでどうしてもかなりの高得点が取れないと合格はあり得ないと思っていたので,MBEで高得点を目指す勉強に相当の時間をかけるしかないと思っていた。
 しかし,エッセーで70点が取れるのであれば,MBEは6割できればいいと考えることができるのであれば,上記のような勉強は,遠回り過ぎかもしれない。
posted by 内田清隆 at 15:02| Comment(0) | TrackBack(0) | MBEについて

情報収集

 アメリカのロースクールに行っていないと,「日本人として」どのようにカリフォルニア州司法試験を受験したらよいかについて,情報が少なく大変苦労した。

 その中で非常に助けられたのは,日本人受験生がインターネットにあげている情報である(検索すれば,たくさん見つかる。)。まずは,これで情報収集をしたい。

 アメリカ人が書いたものはたくさん見つかるが,一番情報量が多いのが以下の掲示板だと思う。何でも出ている。http://www.top-law-schools.com/forums/viewforum.php?f=41
 ただし,掲示板という性質上,ソースが不明な玉石混交の情報にあふれている。読みだすと非常に面白くて読み進めてしまうので,もしかするとあまり見ない方がいいのかもしれない。

 JD Advisingというサイトがエッセーのコツなど色々と役立つ情報を公開している。商業サイトではあるが内容は信用できる。ある意味受験生であれば当然のつまらない情報ばかりだが,知っておくべき内容ばかりともいえる。

 エッセーの過去問については,多くの本では模範解答が出ているだけでほとんど解説がない。しかし,インターネットで調べてみると,解説してくれている動画を多数みることができるので,これでエッセーへの取り組み方を学んだのも非常に勉強になった(ただし,これも玉石混交。公式sample answerですら間違いが堂々と記載されている世界であり,正しいかどうかは最終的には自分できちんと裏付けを調べる必要がある。ただ,逆にいえば,その程度の正確性でOKということを理解して,雑な感じで勉強していく方が効率はいいと思う。)。


posted by 内田清隆 at 14:56| Comment(0) | TrackBack(0) | その他

新しい情報の必要性

原則古くてOK
 基本的にカリフォルニア州司法試験の出題の基本となる法律は大きく変わっていない。20年前の資料でも普通に役立つし,多くの科目は10年前の教材でも十二分である。

 というのも,カリフォルニア州司法試験は,基本的にはコモンローから出題されるが,コモンローは長年,蓄積されていた裁判例の積み重ねの上にある基本原則であるため,数年で変わるということはあり得ないからである(加えて,試験自体いい加減なところが多く,多少の誤りは減点にすらならないというのもある)。

 5年も前の予備校教材を利用する人はいないだろうが,それでもほぼ問題はないし,1〜2年前の予備校教材であれば全く問題はない(除く弁護士倫理のCA new rule)。

 また,最新の最高裁判例や法律変更を追いかける必要もなく,本に出ている範囲で覚えれば十分だ。2017年発刊の本に2016年の重要な最高裁判例が載っていたりすると,新しい重要判例がないか心配になるが,そのようなところから出題されたことは,知る限り(つまりこの20年ぐらい)はない。
ネットによる情報だが,最新の判例が出たとしても数年は出題されないといわれているらしい。

 とはいいつつ,いくつかの科目では,古い資料では問題がある場合もあるので,以下,科目ごとの注意点である。

新しい情報が不要な科目
契約法,不動産財産法,刑法,商組織法は,この20年大きく変わっておらず,古い本や資料であっても完全に問題がない。信託法も同様である。

 信託法は,2000年に従来のルールと相当に異なる統一信託法が公表され各州で採用が進み,従来のリステイトメントから大きく変わった第三次リステイトメント2012年に公表されるなど,現代化が進んでいる。そのため,本質からいえば新しい資料から学ぶべきである。
 ただ,信託法が相当に変化しているとはいえ,カリフォルニア州司法試験でその理解まで必要があるのかは微妙なところで,「高得点を目指す人は新しい資料に目を通して得になることがほんの少しはあるのかな〜」といった程度であろう。

 不法行為法は,コモンローがベースであり古い本でもよいが,製造物責任の考え方が20年前とは大きく変わっているので,10年以上前の資料は微妙な場合もある。

 商組織法は,法律は頻繁に変わっているのだが,問題に出るのは,変わることのない基本部分である。そのため,20年前のものでもよさそうであり,10年以内のものであれば十分だ。

 リメディ―も法源は基本コモンローである。ただUCCや最高裁判例も視野に入れる必要があり,20年前のものでは少し古すぎるかもしれない。とはいえ,10年以内のものであれば十分だ。

新しい情報が必要な科目
弁護士倫理→憲法・刑事手続→遺言・夫婦共有財産,証拠法→民事手続の順番で,割と新しい本がいい。

 弁護士倫理については, CA ruleが2018年に大改正をされたため,そちらについては必ず最新のもの(2019年以降)を入手する必要がある(CAruleはほぼ毎回出題される)。
 ただ,恐らく良い本はまだないので,まずは規則原文を確認し,その他には,予備校本かネットでまとめを探す必要がありそうである。
 ABAについては,改正は適宜あるが,大改正はないと思うので5年前のものでも十分そうだ。

 憲法・刑事手続
は,最高裁判例が法源で,次々と重要な判例が出るので,新しいものが必要である。
 最新の判例からは出題されないので最新のものである必要はないが,できれば2〜3年以内,最悪でも5年以内の資料を参考にすべきだろう。

 遺言,夫婦共有財産は,適宜改正がされるカルフォリニア州制定法が法源である上,重要な州最高裁判例なども出ているため,2〜3年以内に出版された新しい本の方が良いことは確かだ。
 ただし,MBE科目などと比べて,新しい点が,出題される可能性が非常に低いため,実際には古い本であっても影響はまずない。

 証拠法は連邦法,CA法とも定期的に改正されており,重要な最高裁判例も出ているため,5年以内のものを利用したい。 

 民事手続も,主法源であるFRCPが2007年に大改正が行われており,頻出のpersonal jurisdictionについては最高裁判例が法源とされ,割と揺り動いているため,少なくとも10年以内,できれば5年以内に出版されたものが安心である(Ca民訴については勉強不足で分からない)。

判例と論文

判例
 ロースクールに行かないで受験した人の中では,自分は,多くの判例を読んだ方だと思う。
 ロースクールに行っていないハンデがあるので,ある程度判例を勉強しないといけないのでは・・・と不安に思ったためである。
 また,カリフォルニア州司法試験に合格したと言いながら,ほとんど判例を読んだこともないとなっては恥ずかしいという思いもあった(ロースクールに行っていないコンプレックスもあったのかもしれない。)。

 結果として,それなりに意味があったと思う。
 判例には,法律業界以外ではあまり使われない単語がかなりたくさん出てくるのだが,それは本試験においても重要となる単語である可能性が高い。そういった単語が多く使われている文章を苦も無く読めるようにする練習は,エッセーにおいても必要だし,とりわけPTにおいて重要となるためである。

 主に読んだのは最高裁判例だが,日本の最高裁判例と違って,それぞれの裁判官が個性的な文章を書いており,また,論理も明確な場合が多く,意外に読みやすくかつ面白かった。

論文
 分からないことをネットで検索していると,色々な論文にいきつく。そのようにして,多くの論文を読むことになった。

 特に読んだのはMBEの問題を解いてみて回答に納得ができないときであった。
 例えば,「空き地で鉄砲の練習をしていて外して人にあたると殺人?故殺manslaughterではないの?」などと気になることがあると,まずはwikipediaなどで調べるのだが,どこまで頼りになる情報なのか分からず,結局は論文を読むことになることがよくあった。
 
 しかしながら,論文を読むのは,時間の無駄であった可能性が高い。
 というのも,カリフォルニア州司法試験は厳格に考える必要のない,大雑把に考えるべき試験であったからだ。
 「多くの子供が遊ぶ広場の横で木に向かって射撃訓練で弾が外れる場合は殺人」と理由も何もなく覚えてしまえばよく,「どうしてなの?」とソースを突き詰めても,細かくは州ごとに考え方もルールも異なるため何も得るものはない。
 しかも,カリフォルニア州司法試験では,そんな細かいことは問われず,点差がつくこともない。

 確かに,法律論文を読むことは,法律文書を読む能力をつけるには効果的である。しかし,その能力は別に論文を読まなくてもつけられる能力であろう。

 そもそも,私がよく論文を読んだのは,分からないことを調べるための辞書的な基本書を準備しておらず,ネットによる情報が頼りであったからだ。
 しかし,Emanuelのアウトラインシリーズでもよいし,ChemerinskyのConstitutional Lawや,Dukeminierの Casebookでもよいので,読むには量が多すぎるが調べるのに便利な基本書を手元に置き,私のように分からないことをネットで調べるのではなく基本書で調べるというのが正しい姿勢であったと思う(私は勉強期間終盤,本を買い揃え初めてそんな形式になった)。

2019年10月02日

July 2019 California Barexam - 2020年2月の論点予想

July 2019のカリフォルニア州司法試験の問題が公表された。
https://www.calbar.ca.gov/Admissions/Examinations/California-Bar-Examination/Past-Exams

第1問
 第1問の民事手続きは,全面的にディスカバリー,しかもほぼinterrogatoryからの出題であった。
 カリフォルニア州法からの出題でないということで私の予想も外れたが,多くの人が予想を外した問題であっただろう。とはいえ,過去に複数回出題されているのでA論点ではある。

 Glannon Guideに似たような問題があり,難しすぎる・・・と思って,あてはめまでは,よく勉強しなかった記憶のある,あてはめが勝負の問題であった。
 やはり教科書に出ている論点はアウトラインで薄くてもしっかりとやっておいた方がよいのではあろう。
 同書ではエリードクトリンの当てはめ,主観的又は客観的併合の要件の当てはめなどでも難しい問題が出ていた。そのあたりが狙い目だろうか。そこまで勉強はなかなかできないが…。

第2問
 第2問は,憲法とリメディ―のクロスオーバー。刑務所処遇の仮処分ではなかったが,行政行為に対する仮処分ということで予測をあてた。
 今後も過去に例をみないクロスオーバーが出されてくるのだろうか。
 重大なクロスオーバーにかかわらずあまり出題されていないのが,弁護士倫理と刑事手続のクロスオーバー。
 「有罪と分かっている刑事被告人が無罪だという証言を始めた」
 「犯行につかったメモを事務所に依頼者が持ってきたが,その後警察がそれを差押に来た」
といった問題。次はこれじゃないだろうか。

 憲法は表現の自由がそろそろ出題されないとおかしい。さらに絞って,今度出るのは表現の自由と政教分離が絡む問題と予想していた。信仰の自由は絡む問題であったが,表現の自由はほとんど絡まない問題であった。今度こそ,絡む問題が出るであろう。

第3問  
 第3問は,刑法/刑事手続きの問題。予想したドローンではなかったが,予想通り,現代技術を使った無令状捜査の限界はズバリ問われた。
 刑法は予想通り,小問として使いやすい細かな論点であったが,rubberyというA論点が素直に問われた。そういえば文書偽造や同行使がエッセーで出題された記憶がないが,そろそろでるかもしれない。
 刑事手続は続けて出題されないと予想するが,今度出るなら,余り正面から出題されていない毒樹の果実と予測しておこう。あるいは,令状なしパターンが続いたので,令状の有効性(とくにgood faith exception)を問う問題であろうか。

第4問
 第4問は,弁護士倫理。どのアウトラインにもある論点でありながら,過去にあまり出題されていない,ボス弁から不当指示を受けたイソ弁の責任といった話がかなり深く聞かれる出題であった。かなり予想外。勉強不足で自信がないが,予想していたカリフォルニア州新ルールを正面から問う問題でもなかった。
 次こそ,duty of loyaltyが正面から聞かれる問題だとは思うが,どのアウトラインにもありながら過去に出題されていない論点も狙い目なのかもしれない。
 そうなると政府弁護士がやめて民間弁護士になった時の規律や紹介料をもらっていいかなどだろうか。弁護士が自分に遺贈するような遺言案を作成すると言った,willとのクロスオーバーもあるかもしれない。

第5問
 第5問は,契約法の問題。代理と若干クロスオーバーしているようにも読めるが,実際には代理の論点は出てこないようだ。契約法/代理も含めて契約法/商組織法のクロスオーバーが出ると予想していたがこれは当たったとはいえない。
 この問題,第1売買も,第2売買も有効だとすると,動産の二重譲渡という多くのアウトラインには存在しない論点が浮かび上がる。第1売買はstatute of fraudsで書面がないから売買を強制できないので二重譲渡関係にはなり得ないので,論じる必要はないというのが正解だろうか。
 しかし,改めて思ったが,契約法の論点予想は難しい。広く浅くという傾向があるので,満遍なく出ると思うしかないように思える。
posted by 内田清隆 at 14:27| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセー出題予想

2019年09月30日

実際の試験

試験前日まで
 実際の試験は,パサデナで受験した。行ったことのあるLAに近かったのと,LAダウンタウンは治安が心配だったのと,行きたかったノートンサイモン美術館があったからである。
 時差ぼけを心配し,また月曜日に出発しても土曜日に出発しても仕事を休む日数は同じであったため,早々と3日前に試験会場入りした。
 緊張のせいか時差ボケもなかったのでその点では早めに行く必要はなかった。ただ,早めに着いたので,事前に試験会場を下見し,慣れない街の空気に馴染むことができたし,ホテルにこもって最後の追い込み勉強を集中してすることができたのはよかった。

試験1日目午前中
 1番不安だったのが,パソコンがきちんと動くかどうかだった。万が一手書きになったら,時間的に合格答案は書けないことが分かっていたので,パソコンにアクシデントがあれば,合格をあきらめるしかないと覚悟を決めていた。
 試験開始前にパソコンをネットに接続させようといじっていると(実際には接続できないようになっていた),突然画面が赤くなり,「WARNING」という表示と大きな手のマークが表示された。「何かしてはいけないことをしてしまったに違いない」「終わったか・・・」等と思って焦りまくって周りを見ると,何人かのパソコンに同じような表示がされていた。
 時間前に試験会場の特別なテスト用の接続にアクセスしようとするとなされる表示であったようで,しばらくすると無事に同表示も消えて,順調に特別なテスト用の接続にアクセスすることができ,アクシデントなくパソコンで試験を進めることができた。

 試験開始前に,替え玉防止のためか「両親の旧姓」「受験番号を後ろから」など,いくつかの指示に従った事項を手書きするよう指示されるのだが,リスニングに自信が持てず困った。
 しかし,ここで恥ずかしがって間違えるわけにはいかないと思い,試験官を挙手して呼び,自分のリスニングがあっているかを確認し,ようやく安心することができた。

1問目
 1問目は,quasi-community propertyの生存中及び死亡時における取り扱いという割と細かな知識がないと非常に混乱する問題であった。
 自分は,その部分にヤマを張っていたというか,かなり深く勉強しており,「ラッキー!」と気分よくスタートを切ることができた(実際には,私の知らないQCPに関するルールが適用される状況だったようだが,それはC論点。知っていた人はほとんどいないと思う)。
 さらには日本の司法試験で国際私法を取得して学んだ他州要式の遺言が有効かというB論点も続き,「これも知識があいまいな人が割りといるんじゃないかな〜」と気分良く進められた。
 そもそも,community propertyは4回連続での出題。3回連続で出題されたから,今回は出題されないとヤマを張らなくてよかった〜とも思っていた。やはり,科目にヤマを張るのは危険すぎる。

 小問2では,後見人(conservator)が遺言を書けるかという,これもまた過去問で出題されているがアウトラインにはないというB論点。「やはり過去問に出たことはアウトラインにでていなくても出題されるな〜,これも知らない人いるだろう」と,いっそう気分良く進めることができた。

 小問3では,撤回可能信託において,信託設定者が判断能力を失い,その後死亡した後,債権者が信託財産を差し押さえることができるかが問われた。アウトラインで見たこともないし,過去問でも出題されていない。「これはC論点だな,誰も知らないから適当に書こう!」と自信をもって適当に書いた。確か,「撤回可能信託において,債権者は,設定者の生存中は信託財産を差し押さえることができるが,死亡後は,債権者を害する意図があったなど特段の事情がない限り差押はできない」などとルールをでっち上げ,適当に当てはめをした(実際には,特段の事情の有無にかかわらず普通にできないようだ。)。 
 55分で書き終えること(900語ほど)ができたが,多くの受験生より早くできた自信があり,かなり前向きな気分で次に臨むことができた。

2問目
 2問目は明らかに不法行為tortの問題。不法行為は私の中では,時間をかければかけるほど良い点が取れる科目。しかし,次の問題をみないとどこまで時間をかけてよいのかが分からない。そこで,3分ほど見て,先に3問目をやることした。

3問目
 3問目は,不動産財産法,ほとんどがA論点で,論点も落としようがないという簡単な問題(nuisanceに関する論点はB論点の可能性がある。今思うと短期家具付きリースもB論点かもしれない。)。
しかし,なぜか,”Warranty of quiet enjoyment” というキーワードがどうしても思いだせなくなってしまいショックを受けた。さらに,(後で考えれば,正しいスペルを表示させる機能を使えばよかったのだが)habitability という単語が,何度書き直しても「スペルが違う」ことを表す赤い波線が消えず,これにはかなり焦らされた。
 思い出せないものは仕方がない!と開き直って,Warranty of quiet enjoymentというキーワードを使わずに済ませ,habitabilityもスペルミスを承知のままにして,800語程度で50分で終わらせ2問目に戻ることにした。

2問目 
 不法行為法はいつも70分あっても時間が足りないため,70分以上時間が残っていたが,かなり緊迫感をもち,答案構成を事前にせずに,いきなり回答を書き進めていった。
 問題を回答している中で,不動産所有者の特別な過失責任が問題なっていることに気づき「良かった〜,過去問練習でこれを忘れたんだよな〜」と思い,気分を良くして書き進めた。残り10分になってからbattery等の故意の不法行為が問題になっていることに気づき「危なかった!気づいた,ラッキー!」と思って,自分の持っているものは発揮でき,気持ちよく午前中を終わらせることができた。1050語くらいであったと思う(全論点に触れて良くできた〜と当時は思っていたが,帰って来てから解説を見たり聞いたりすると,結構論点を落としていた。現地で情報を得ないことで,気分良いままに進めたのが良かったのかもしれない)。

試験1日目午後
 PTで点を稼ぎたいし,時間さえあれば稼げる(65点以上を取れる)と思っていた。そのため「勝負は時間」,何としても4問目5問目を合計105分で終わらせて,PTに105分を使えるようにしたいと思ってスタートさせた。

4問目
 4問目は証拠法/民訴のクロスオーバー。カリフォルニア証拠法を非常に得意としていたのだが,残念ながら連邦証拠法,「さすがにCA証拠法は2回連続ではこないか〜」と残念に思うとともに,証拠法はいつも時間が足りなくなる科目。これは60分使うしかないなあとあきらめながら進める。
 ところがクロスオーバーされていた民訴は何度何度も起案して非常に自信をもっていた事物管轄権の問題。こちらは覚えていたことをハイスピードで書くことができ,それでなんとか55分ぐらいで4問目を終わらせることができた。
 常に証拠法で頻出のhearsayについて書くことがほとんどなく「何か,重要な見落としがあるのか・・・」と不安に思いつつも,PTに時間を残すため,振り返らずに先に進んだ。900語ぐらいの答案であった。

5問目
 5問目は弁護士倫理。カリフォルニアの新ルールを聞かれたら自信ないな〜と思っていたのだが,新ルールに関係のない,前例もありそうな問題。これもまた,頻出の守秘義務や忠実義務が出てこないことに不安を覚えながらも,すらすらと書くことができたので,45分で終わらせ,PTにかなり時間を残すことができた。
800語もない短い答案となったが,経験的に弁護士倫理は長く書いても,余り点が伸びないので,PTでよしんば時間が余ったら,いま一度証拠法を見直そうと考え,次に進んだ。
(なお,実際には,懲戒処分にあった弁護士を事務員に採用する場合には弁護士会に通知するというCAの新ルール?違反をあげる必要があったようだ。まあC論点だろう。)

6問目
 最後のPTは,練習では,成績はかなり時間に比例していた。そのため,望外の110分も時間があった本番では,取り組む前からかなり自信をもって進めることができた。
 実際に,今まで練習で書いたどの答案より自信のある答案が書け,今までほとんどできなかった反対意見を叩くという加点要素にまで踏み込むこともできた。
 残り10分ほどで,早くも「とにかくやれることはできた〜」という喜びから,涙ぐんでしまい,「まだ終わってないぞ!油断するな!」と鼓舞して,改めて証拠法を見直した。
 今までの練習では,決して時間が余ることはなく,一度も見直しをすることができなかったので,5分ほど1科目だけとはいえ,見直せることができて凄く嬉しかった。


2日目 
 1日目の物凄い緊張とは異なり,2日目はだいぶリラックスして受験できた。慣れたというのもあるし,パソコンについての心配もいらなかったというのも大きい。
 MBEについては,練習では30分で17問のペースを厳しく守り,16問しかできなければ気持ちスピードをあげ分からなくても回答し,18問できていれば少しのんびりする・・・と時間のことばかり気にしながら,常に時間ぎりぎりまでかけて解いていた。
 しかし,本番では,特別の集中力からか,90分で54問と予定より3問もリードしたペースで進めることができ,後半は余り時間を気にせずにやることができた。最終的には5分ほど時間が余り,余裕があれば見直そうと思っていた試験用紙を目印に折り曲げていた勘で回答した問題を今一度検討することができた。
 緊張のせいか,鉛筆を削っていくのを忘れ,爪で芯をほじくり出すという恥ずかしい行動に出てしまったり,途中で回答が問題とずれていることに気づき青くなったりもしたが,時間内に無事に終わらせることができ,ホッとしながら試験を終え,翌日は,ゆっくりとノートンサイモン美術館を楽しむことができた。

発表前
 それなりに合格を信じて帰国し,その後は,試験のことをすっぱり忘れたまった仕事に追われて日常業務に戻っていた。
 しかし,合格発表1週間前になって,ネットなどで情報を集めてみたところ,自分のエッセーが多くの論点を落としていたことや,いくつかのルールを誤解していたことに気づき,急に自信がなくなってきてしまった。
 目標としていたエッセー平均60点,MBE75%は取れただろと考え,合格に自信があったのだが,そもそもとして果たしてそれで合格なのかもはっきりしない。
 さらに考えてみれば,MBEで75%取れたというのは,その前に模試形式でトライしたときに75%以上正解したことだけが理由なのだが,本番もできているという保証は,考えてみればどこにもない。
 「落ちていたら,もう一度受けようという気力をもつことができるだろうか…」「みんなに合格しているようなことを言わなきゃよかったか‥」と不安をもちながら発表を待った。
 
 合格発表の朝,時間になりネットにアクセスすると,The name above appears on the pass list という表示が見えた。「これ合格ということだろ〜!」と思ったものの,本当にその表示が合格を意味するのか,すぐには自信が持てなかった。
 ネットで15分ほど色々と調べてみたところ,これが合格を意味する表示であるということを理解し,ようやく遅れながらも喜ぶことができた。

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2019年09月05日

その他の注意事項

・ ソーシャルセキュリティーナンバーをMBEの試験の際に記載しろと言われたが,持っていないためにどうしたらよいか悩んだ。試験官に質問すると,持ってない人は記載しないでよいとのことであったが,かなり焦った。
・ 会場はネットはつながらず,一定の時間になるとエッセー用ソフト専門の特別な回線に接続できるようになる。
 私は,それを知らず,「どうしようネットにつながらない」「エッセー用ソフトにパスワードを入れても始まらない!」と青くなった。
 結局,時間になったら自然につながるようになったのだが,めちゃくちゃ心臓に悪かった。
・ ソーシャルセキュリティーナンバーがない人の受験は珍しいようで,最初に試験委員会にメールして,免除申請を行う必要がある。
・ 指紋提出が要求されるが,法科学鑑定研究所http://alfs-inc.com/shimon/009.htmで,様式にあった指紋採取が簡単にできる。
・ グアムでMPREを受験したが,冷房がちょっと信じられないほど効いており,寒すぎて集中できなかった。日本では経験したこともない冷房による寒さであった。本試験でも同じような話を聞いたことがある。皮膚の薄い日本人は多分暑さ寒さに弱い。脱いだり着たりできるような格好の重要さは,日本の常識ではかってはいけない。
・ シャープペンや鉛筆にくっついていない消しゴムの利用は厳しく制限される。なぜだ・・・。ともかく,持ち物を間違えると終るので,許される持ち物には細心の注意が必要。
・ 手書きかPCかという問題があるが,PCが絶対有利だと思う。自分は筆記体をそんなに早く書けるようになったと思えないし,スペルミスをチェックしてくれるのも相当に嬉しい。私が受験した時のソフトでは,ワードと同じようにスペルミスには自然に波線がつき,その部分をクリックすると修正候補が表示される形式であった。

posted by 内田清隆 at 18:35| Comment(1) | TrackBack(0) | その他