2020年01月09日

日本人ノート


 主にニューヨーク州司法試験であるようだが,「日本人ノート」なるもので勉強している受験生が多数いるようだ。
 私は,「日本人受験生の知り合いがいないのでそんなものは入手できなそうだが,入手しないと不利になるのか?」などと最初悩んでいた。
 結論からいえば,あって損ではないだろうが,なくても大したマイナスはないと思う。

 ネットで調べてみると,韓国人の世界では「韓国人ノート」が出回っているようだし,当然ながら「アメリカ人ノート」はその何十倍も出回っている。
 
 その中で,あえて日本人ノートを勉強素材として利用するメリットは,日本語での説明があるため,理解が早いという点であろう。
 しかし,日本語の方が,確かに理解は早いのであるが,一方で,英語力取得には遠回りであり,利用したほうが近道かどうかは微妙なところである。

 文化的にあるいは日本法との違いのために,特に日本人が理解しづらい概念を丁寧に説明されているのであれば,かなり使い勝手は良い。しかし,見ていないのでわからないが,そのような高度な説明をコンパクトにまとめたノートを期待するのは難しいであろう。

 なお,日本人ノートにしてもアメリカ人ノートにしても,あるいは予備校作成のアウトラインについても,「内容に間違いがある」「内容が古い」と指摘する人がいる。
 しかし,あまり気にする必要はないと思う。確かに,間違いのないノートはないであろうが,ルールは多少間違えたとしても,点数に与える影響は少ないからである。重箱の隅はつつかない,いや,重箱の真ん中であってもつつかない,大ざっぱでアメリカンな態度が,カリフォルニア州司法試験では重要だ。(it sucks...)

チューター(個別指導教師)の利用

 
 アメリカ人の多くが,司法試験の勉強法の選択肢の一つとして,チューター(個別指導教師)の利用をあげており,また利用している人も少なくなさそうである。

 最初,私は,個別指導を受けるためには,カリフォルニアに住んでいる必要があると思い込んでおり,チューターの利用は眼中になかった。
 しかし,実際には,考えれば当然だがSkype, 電話,メール等を通じて,日本にいながら個別指導を受けることも可能である。
 また,情報についても,インターネットで調べれば,かなりの情報を得られるので,日本にいながらして良いチューターを選ぶことも不可能ではなさそうだ。
 費用的にも,少し調べた限り,大手予備校と比較して高いともいえず,必ずしも高額というわけでもないようだ。

 途中でそれに気づき,チューターの利用も考えたのだが結局はトライしなかった。
 大手と異なりチューターとなると当たり外れが大きそうで不安があったからである。
もっといえば,仮に詐欺でも,相手がアメリカでは,訴えることも現実的に不可能であり,「騙されたらいやだ〜」という思いもあった。

 しかし消極的だったと,今は少し反省している。
 ロースクールにも行かず,予備校にも行かず,一人で勉強していると,世界が広がらない。
 カリフォルニア州司法試験をを受験したのは単に合格に意味があるのではなく,その中で世界を広げることに意味があると思ったからであり,騙されたら騙されただと開き直って,試しに少しやってみてもよかったのかもしれない。

posted by 内田清隆 at 16:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 勉強法一般

エッセーへの三つの取り組み方

 勝手なネーミングであるが,エッセーに取り組む方法として,@網羅的チェック法Aファクトトリガー法B吐出し調整法の三つが存在する。

@ 網羅的チェックリスト法
 網羅的チェックリスト法とは,事前に教科ごとの論点すべてのチェックリストを準備していき,まずは,同チェックリストを使ってあげるべき論点を確認してから,論文を書きだすという方法である。
 この方法の主唱者らは言う。「issue spotting =論点探しをしているうちは,どうしても論点落しが発生する。発送の逆転が必要だ。論点を探すのではなく,不必要な論点を落とす=issue droppingが大切だ。」と。定評ある,エッセー問題集通称The blue bookの著者Basickもこれに近い方法を推している。

Tortを例にすれば
□intentional torts
□battery □assault □false imprisonment ・・・
□strict liability
□animal □abnormal dangerous activity □products liability □nuisance
・・・・
といったリストを頭の中でまたは紙に書いて再現し,一つずつ当てはまるかどうかを確認し,当てはまった論点を書いていくという方法である。
 
 理論的には完璧な作戦だと思ったのだが,残念ながら,私はこの方法を採用できなかった。
 網羅的チェックリスト法を採用できなかった理由の一つは,上記リストを覚え込めなかったためである。ただ,この点は,頑張れば何とかなった可能性もある。
 それ以上に,同方法を採用できなかった最大の理由は,チェックしている時間がなかったためである。この方法の主唱者らは,15〜20分チェックリストを用いながら答案構成を考えて,書き出すことを薦めている。
 私も,その薦めに従い何回かは試してみたものの,私の英語力では,書き出す前に15〜20分を使ってしまったら,とても最後まで書き終えることはできなかった。長くても10分,できたら5分考えたら全速力で書き始めたい。そう思うと,この方法の採用は不可能であった(なお,ファクトトリガー法とのコンビネーションであるが,詳細なやり方は以下のサイトが説明しており,非常に参考になった。)。
https://www.makethisyourlasttime.com/issue-checking-not-issue-spotting/ 
 
A ファクトトリガー法
 ファクトトリガー法とは,
・論点は必ず事実factと結びついている。
・カリフォルニア州司法試験の問題文には無駄に事実は記載されていない
→よって,問題文の事実をすべて使いきれば,全論点をあげることができる
という公理を前提として,問題文の事実を細かく分析し,それごとに推測される論点を検討していくという方法だ。

 私が受験中大変お世話になった前川先生は極めて高度なレベルで過去問を分析している。http://shinmeilaw.blog91.fc2.com/blog-category-9.html
 その分析方法は,ファクトトリガー法に近い。
 同法の主唱者たちは,上記Basickも主張していたが,問題文に下線を引いていき,全ての事実を使い切っているか確認することを大切にしている。

 これもまた理論的に素晴らしい作戦だと思うし,もっとも本質的な取り組み方であると思うのだが,残念ながら,この方法も私は採用できなかった。
 大きな理由は,やはり時間の問題である。問題文をざっくり読むのではなく,一文一文アンダーラインを引きながらしっかり読んでいくという方法は時間がかかってしまう。さらには,この方法を実践するには,かなりの才能(勘)や練習(経験)が必要な気がしないでもない。事実と論点の多数の組み合わせを知っていないと,事実をトリガーに論点を引っ張り出すことはできない。しかし,そのようなものをきちんとまとめたアンチョコ的なものは見たことはなく,そうなると,どうしても勘と経験に頼る部分が大きそうである。

B 吐出し調整法
 私が採用した方法は,いわば吐出し調整法ともいうべき方法である。一言で言えば,何も考えずに,書けることから書いていくという方法である。
 問題を読み終わったら,まずは間違いなく関連する暗記済みのルール群and似たような問題をやった際に書いた論点の流れを, 問題を読み終わったらすぐに書き始める(吐出し)。
 その後,問題を解いている中でor問題を解き終わって時間が余り見直をしている間に気づいた吐出しでは足りない点を補う(調整)という方法である。(立派な名前を付けるような方法ではなく,何も考えずに解いていくに近い・・・)
 とにかく確実に書けることだけを書いてしまい最低限の答案を作成し,余裕があれば,問題文の特有の事実のチェックや,チェックリストに基づく論点落しがないかのチェックを行うという方式である。

 例えば,実際に私が2019年2月の第2問をどう取り組んだかである。
http://www.calbar.ca.gov/Portals/0/documents/admissions/Examinations/February2019CBX_Questions.R.pdf
 この問題文を読めば,少し勉強していた人であれば,@動物占有者の無過失責任Aネグリジェンスが重要な問題であることは分かるはずだ。
 私はAは典型論点で何度も流れで書いたことがあった,@はそこまで典型論点ではなかったがルールはすらすら書くことができる状態にあった。
 そこで,まずは,事前に覚えていたそれらのルールを開始5分後からいきなり書き始めた。次に,同問題文を読んで適当に当てはめまで行っていった。これが「吐出し」である。

 そして,加害者がどのような注意義務を負うかを論じているときに,ふと,「そういえば,庭に危険物を置いていて子供がけがをした問題で,不動産所有者の特別注意義務を論じるのを忘れて減点されたな。この問題もそうか!」と考え,不動産者所有者の特別な注意義務に関するルールを付け加えた。これが「調整」である。

 さらに,MBEで,同じ敷地内であっても,立ち入り禁止の区域に入るとinvitee→trespasserに変わり,注意義務が変わるといった問題をしたのを思い出した。
 「とすると,入ってはいけないという部屋に入ったところで注意義務が変わるのかな?」と考え,その点をさらに調整した(なお,この考え方は,誤りなのかもしれない)。

 そうして一通りやったあとに,時間が余ったため,もう一度見直すチャンスが訪れた。そこで,網羅的チェックリスト法を少し試してみて,抜けている論点がないか確認してみた。するとすぐに,batteryが抜けていたことに気づき,そうなると他のintentional tortやそれらへのdefenseも問題となるのかなと思い,それらを少し書いたところで終了した。

 とにかく時間がなかった私がとった苦慮の策であったが,エッセーで65点は狙わず,60点で良しとする自分にとっては,このようなやり方が良い方法であったと思う。

 網羅的チェックリスト法と比べて論点を落とす可能性は高まる。しかし,そもそも,時間がなければ論点を思いついても書けないのであるから,論点を落とすリスクを避けるよりも時間を得るメリットを得た方が,書くのが遅い自分にとって有効であった。

 ファクトトリガー法からすれば「司法試験で大切なのは,覚えてきた知識ではなく,いかに問題文から現場で考えることができるかだ。覚えた知識を吐き出すだけでは合格点は無理だ」と言われることになろう。確かにその通り,高い得点を目指すには適した方法ではない。

 ただし,事実をトリガーにして論点を的確に思いつくというのは高度なレベルの作業だ。一方で,覚えてきたことをただ吐き出すのはレベルの低い作業である。
 高度なレベルの作業ができる実力があれば良いのだが,私は,自分がそこまでには至っていないことを認識していた。そこで,まずはレベルの低い作業の精度をとにかくあげ,高度な作業(調整)は,「できたらラッキー,できなくても仕方がない」という姿勢で臨むことにした。

 実際には,三つの方法は,それぞれバラバラに存在するのではなく,全ての人が三つの方法をミックスしてやっているのだと思う。問題は,それをどんな感じに混ぜ合わせるのか,自分に適したスタイルを見つけて,そのスタイルを磨く方向で勉強していくことだと思う。

 私自身は,自分の能力とMBEで狙える得点を考え,吐出し調整法しかないという結論にたどり着いたが,受験直前になって,伝聞証拠の全類型や不法行為におけるディフェンスの類型など,限られた部分だけ,網羅的チェックリスト法も取り入れた。

posted by 内田清隆 at 16:39| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセーについて  

MBEの時間管理


MBEの練習において,
 早くから時間を管理し,できる限り早く解くよう努力すべきだという説(速攻説)
 最初の内は時間を気にせず,1問1問じっくり考えるべきだという説(のんびり説)
の両方の意見を耳にして,どうしようかと迷った。
 私の場合は,結論的にはのんびり説でいき,1000問以上解き,ある程度自信がついてから,時間を測り,早く解くよう努力するようにした。

 私のようにロースクールに行かないで受験しようと思えば,試験の少なくとも1年前から勉強を開始する。しかし,速攻説を説く人は試験がかなり迫った状況で勉強を開始しているのだろう。
 そのような状況であれば,のんびりもしていられないのも理解できる。しかし,試験まで時間があるのであれば,のんびりした方が良いと思う。

 初期段階において重要なことは,正解することでも早く解くことでもなく,問題から何を学べるかだ。
 しかし,急いで解くだけでは「できた!」「間違えた!」と一喜一憂するばかりで何も学べない。じっくり問題と解答を読み,時間をかけて考えるという作業を通すことで,問題からいろいろ学べるのだと思う。
 そもそも,日本人の多くは,初期段階で,1問1分48秒で解くのはとうてい不可能だと思う。にもかかわらず,時間を測ってしまうと,できないことばかりが気になってしまい,むやみに慌ててしまいそうだ。

 私のイメージでは,時間をかければ6〜7割は正解できるようになってから,時間を気にすれば十分だと思う。(AdaptiBarやBarmaxを利用すると,勝手に時間を計測されてしまう。そのため,アダプティバーを最初から使うべきではないとも思う。)

posted by 内田清隆 at 16:21| Comment(0) | TrackBack(0) | MBEについて

MBEの練習素材再考

S&T for the MBE
 エマニュエルのStrategies & Tactics for the MBEがMBEの勉強素材として,一番高い評価を受けていることは間違いない。悪く言う人を聞いたことすらない。私も一番高く評価している。
 よって,まずは,これを勉強をすべきであろう(もっとも1巻,2巻があるのだが,第2巻の評価は分かれる)。アプローチについての丁寧な説明,丁寧で一貫した解説,受験生が間違えやすい点についての細かな指摘,現状ベストな素材であろう。

Barbri?それともAdaptiBar?
 次に,何をすべきなのかは,結構争いがある。大きくは,バーブリ派とアダプティバー派との対立である。 
アダプティバー派は,
  @創作問題ではなく実際の問題に近い(バーブリは無駄に難しい)
  A携帯端末で利用できる
  B自動的に時間を測ってくれたる
   正解率をまとめてくれる
   といった便利な機能がある,
と主張する。

一方で,バーブリ派は,
  @アダブティバーの過去問は古く現在のMBEの問題と合っていない
  A本試験は手書きでアダプティバーのように携帯端末利用は本番に即していない
  Bアダプティバーは解説が雑である
などといった主張をする。 

アダプティバー派が優勢であると認識しているが,僅差かもしれない。

@の問題が本番に即しているのかは重要な問題だが,日本の司法試験と異なり,試験委員会は毎年の問題を公表していないので,比較は難しい。
私の感覚では,アダプティバーの方が本番に即していた気もするが,一度受けただけの感覚では,あてにはならない。ただ,いずれにしても微差であり,気にするほどのことはないと思う。

アダプティバーの方がやや解説が雑なことは確かだ。しかし,丁寧な解説は読むのも面倒で,コンパクトな解説の方がありがたい面もあり,この比較も難しい。

凝り性なので私も色々と調べたが,結論としては,どちらも大差なく,好きな方で勉強すればいいと思う。
(なお,アダプティバーもバーブリも,そしてエマニュエルも民訴については,本番と明らかに問題の傾向が違う。そのため,NCBEが出している公式過去問集をやるのがベストらしい。とはいえ,私は上記素材だけで勉強し,それほど不足も感じなかった。)

posted by 内田清隆 at 16:16| Comment(0) | TrackBack(0) | MBEについて

お勧めの勉強法


 妄想に過ぎないが,もし最初から勉強をやり直すとしたら,以下のような順番に勉強する。
 正しい勉強法は本当に人それぞれだと思うが,自分にとっては以下の順番がベストであったと思う。

基本の習得
1 入門書とSmartBarPrep
 まずは,簡単な入門書及びbaressaysのプレミアム会員がアクセスできるアウトライン(あるいは同様の コンパクトなアウトライン)を読みつつ,SmartBarPrepの重要論点だけ読みながら試験にはどのような論点が出題されるのかを理解していく。

私なら読む入門書・アウトラインは以下の通り
憲   法  →for dummies
契 約 法  →アメリカ契約法入門
不動産財法  →Short and Happy guide
        http://gettysfootnotes.seesaa.net/category/21234751-1.html
        合格してからこの素晴らしいサイトを見つけた。
         早く読みたかった・・・
不法行為法  →アメリカ法ベーシックス
刑法・刑事手続→アウトラインだけ
民事訴訟法  →Acing
証 拠 法  →連邦証拠規則原文(除くコメント)
リメディ―  →アウトラインだけ(理解困難だが読む)
遺言・信託  →アウトラインだけ
弁護士倫理  →ABAルール原文(除くコメント)
商組織法   →Acing
夫婦共有財産 →E&Eの冒頭100頁
    
2 マイ・アウトラインとエッセー問題 
 SmartBarPrepによる論点把握は続けながら,Basickのエッセー問題に取り組む。やり方は,Basickの本を頭から読んでいき,各問題ごとにsample answer1〜2通に目を通す。
 その順番に併せて,マイ・アウトラインを作成していく。その際は,SmartBarPrep ,詳細アウトライン,barbri miniを並行して読んで参考にしていく。

3 MBE問題と基本書
 エマニュエルのMBE問題集S&Tを頭から解いていく。
 また,きちんとした基本書をそろえ,できなかった問題については,基本書で確認し,マイ・アウトラインに追加していく。

辞書的役割としてお勧めの基本書は以下の通り(?は難解そうだが使いたかった未読の本)
憲法    →Chemerinsky,アメリカ法ベーシックス
契約法   →Restatement2nd,UCC(コメント付き)
       Calamari and Perillo on Contracts
       :Fifth Edition (Hornbook Series)?
不動産財法 →for dummiesとunderstanding
       Property (Casebook) by Dukeminier?
不法行為法 →E&E 
       Prosser, Wade and Schwartz's Torts
       : Cases and Materials?
刑法/刑事手続→understanding by Dressler (刑法と刑訴1)
民事訴訟法 →E&E(CA法は予備校アウトライン)
       Spencer's Civil Procedure
       : A Contemporary Approach
証拠法   →E&E (連邦とCA法用の2冊),各証拠規則原文(コメントも)
リメディ― →E&E(ただしもっと良い本ありそう)
遺言・信託 →予備校の詳細アウトライン
弁護士倫理 →ABA及びCAのルール原文(含むコメント)
商組織法  →Siegel(ただしもっと良い本ありそう)
夫婦共有財産→E&E

実践段階 
4 科目ごと勉強
 この程度で,基本は終了。イメージはロースクール卒業段階である。
 次いで,科目ごとに,
@マイ・アウトラインの見直し,
AMBE問題をAdaptiBarでやる(MBE科目のみ各100問),
Bエッセーを各科目順番に2〜3通ほど書きsample answerやbaressaysの他の答案と見比べてポイントまとめる,
という作業を行う。

5 ランダム勉強
 この頃から 
@MBEについては特に科目ごとに分けずに,ランダムに毎日20〜30問解いては復習する。
A並行して,週に1回ほど,PTの答案を実際に書いてみる。
Bさらに並行して,baressays等を利用して,過去問を解き,それを採点してもらう
(1周目は1科目2〜3通ずつに固めてやる。2周目からはランダム)

6 受験直前
 受験1か月前と2週間前には,実際に本番と同じ時間で実際の問題を解いて,採点してみる。
 それらを踏まえて,そこからは,弱点科目に焦点をあてた勉強する。
 最後の一週間は,過去のアウトラインの復習に充てる。

 どうであろうか? 
 実践については,単に予備校を受講し,それに合わせるだけというのもあるかもしれない。
 私だったら,金銭的に余裕があれば,予備校を受講しておきながら,面白そうな講義や,苦手分野の講義を聞くというかたちでだけ取り入れそうだ。

posted by 内田清隆 at 16:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 勉強法一般

大手予備校比較

 
 私は結局のところ,e-bayでバーブリの中古テキストを購入し,無償で聞けるいくつかの予備校の講義を聞いただけなのだが,予備校受講を考えた際には色々調べた。
 私の調べた限り,大手予備校はどこも大差がなく,内容的にほとんど変わらないというのが多数意見だ。

 司法試験業界は,バーブリ,カプラン,テミスの大手3予備校の寡占状態にある。
 バーブリが最古参で業界初の予備校,そこにカプランが進出し,バーブリの一部が独立して近年テミスが設立された。

 授業料はバーブリ>カプラン>テミスの順番であり,シェアも同じ順番だろう。
 バーブリ利用者が一番多く,テミス利用者が一番少なそうだ。

 テミスを推す人は,内容が同じであれば安い方がいいと主張する人が多いし,バーブリを推す人は,長年の実績と多くの受験生が利用しているという信頼を重視すべきであると主張する。
 いずれにしても内容に差があるという意見はほとんど聞かないところであり,どの予備校にするのか迷うのは時間の無駄になりそうだ。

 私は,予備校の受講が何十万円もするのを知り,その価値はなさそうだと判断し,予備校は利用しなかった。ただ,試験が終わる頃に,カプランを受講するとエッセーを何枚でも提出できて採点してもらえるという情報をネットで目にした。
 私はbaressays.comに相当の費用をかけ100枚近くのエッセーを採点してもらったので,今思うと予備校を受講した方が費用的には安かったのかもしれない。

 ただ,予備校は,ロースクール卒業生が,試験までの間に受講するというのが基本的なあり方である。
 そのため,どうしてもロースクールに行っていない人間には,完全にはフィットしないことは理解しておく必要があろう。

posted by 内田清隆 at 15:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 勉強法一般

でたらめなカリフォルニア州司法試験

 受験中はあまり考えないようにしていたが,カリフォルニア州司法試験は実にでたらめな,ひどい試験である。
 受験生が文句を言っても仕方がないのだろうが,これでアメリカの法曹界は大丈夫なのかと少し心配になる。

ルールの無視
 カリフォルニア州司法試験では,ルールは適当でよい。もっといえば,間違っていても,受験生の多数がそのルールを書くのであれば,そのルールを書く必要がある。しかしながら,法律家を選ぶ試験がそれでいいのであろうかという疑問は拭えない。
 これでは,法律を無視して,陪審員を言葉巧みにだます法律家の養成にしかならないのではないだろうか。

暗記するだけのルール 
 また,カリフォルニア州司法試験では,どうして法=ルールが作られたのか,ルールにはどんな問題点があるのかを考えることは禁止され,ただひたすらにルールを覚えることを要求される。
 つまり,ロボットのように,何も考えずに暗記していく能力が要求されるのだ。
 はたして,そのような能力を試す試験で,良い法律家になるべき人物を選べるのであろうか。

多数派による支配
 さらにカリフォルニア州司法試験で要求されるのは,「正しいルール」を書くことではなく,「多数が書くルール」を書くことだ。
 これが民主主義であるとでもいうのであろうか。そこには,正義も真実もない。多数派に追随する能力だけが高い法律家を作り出してどうするのであろうか。 

 受験生の掲示板をよく読んだが,暗澹たる気分になった。
 考えていることは,「どうやったら効率的に合格できるか」「どうやったら試験でよい点を取り良い就職先を得られるか」ばかり。正義も真実も社会貢献もおよそ存在しない。存在するのは自分のことばかりである。

 とはいえ,とても責めることはできないとも思った。
 数千万円に及ぶ多額の投資をしてロースクールに3年間通い,厳しいロースクールでいわば青春を犠牲にした受験生たち。試験に合格できなければ何をしていたのか全く分からない。その状況下で自分の合格だけでなく幅の広い視野をもてと言ったところで綺麗ごとに過ぎないと言われてしまうだろう。

 もしかすると,能力のある受験生は,私が読んでいたようなネット掲示板に書き込みなどせず,苦も無くカリフォルニア州司法試験を突破することができ,もっと広い視野を持てているのかもしれない。

 しかし,様々なところで,アメリカの法律家自体が「カリフォルニア州司法試験は,人間性を失わせるひどい試験だ」というのを耳にした。これは,実際にひどい試験だからであるとしか思えない。

 恥ずかしながら,私は,日本の司法試験の現状をよく知らないのであるが,アメリカのようにならないことを祈るばかりである。

posted by 内田清隆 at 15:50| Comment(0) | TrackBack(0) | その他

古い法律

 「burglary」は伝統的には夜に行われることが要件であったが,現在では多数の州で同要件は廃止されている。
 「de fact corporation」という伝統的な法理は,ほとんどの州で放棄されている。

 このように古い法律と新しい法律で内容が異なる場合,どのようにしたらいいのであろうか?

 理想的には,両方を書いた方がいいに決まっていて,それが加点になる場合も多いのであろう。
baressaysの採点基準だけから判断すると,前者のburglaryの要件のように「多くのアウトラインに古いルールも新しいルールも出ている場合」は両方書いた方が加点になる,一方で後者のde fact corporationのルールのように「多くのアウトラインには古いルールしか出ていない」場合には新しいルールを書いても加点にならないという扱いのように思えた。

 ただ,あるかないか不明のわずかな加点を求めて両方のルールを書けるのは,エッセーで時間が余ってしまう猛者だけの話。
 凡人は,とにかく一つのルールを覚えてそれを書くというのが合格への早道のようだ。

 もっとも,そもそも法律によってルールが違う場合の対応は,あまり気にする必要はない。
 多くのエッセー問題で,古い法律と新しい法律で要件が違う場合,どちらでも結論が変わらない事例が出題されることがほとんどであり(絶対ではない),その論点が浮かび上がらないようにしている。
 また,ルールはいい加減でいいというのがカリフォルニア州司法試験の大原則なので,どちらでもいいので,自信をもってどちらかのルールを書けば,獲得点数に大きな差がつくこともない。
posted by 内田清隆 at 15:43| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセーについて  

2月に受けるか7月に受けるか?

 ロースクールに行かないのであれば,いつ試験を受けるかは自由であるため,カルフォリニア州司法試験を2月に受けようか?7月に受けようか?どちらが受かりやすいのか???と悩むことになる。
 結論的には,どちらでも受かりやすさに大差はない。

 2月と7月で出題傾向が違い,出題される科目も異なる傾向があるという説もある。
 その説を聞いて,私も調べたが,傾向がないとは言い切れない程度のレベルの差,それを気にして何かを変える必要はない。

 一番気になったのは合格率であった。7月は常に2月よりも圧倒的に合格率が高い。それだけ見れば7月の方が受かりやすい。
 しかし,ロースクールを卒業して初めて受ける試験が7月であり,優秀な学生が7月に受かってしまうので,2月の合格率が低いという説も有力に主張されており,どちらが合格しやすいのかについては諸説あるようだ。
 統計データからの私なりの予想では,2月の方が合格しやすいのだが※,雑な考え方でありあてにはならない。

 少なくとも,どちらかが明らかに受かりやすいということはなさそうである。
 受かりやすさが大きくは変わらないことが確かであれば,2月に受けるか7月に受けるかは,自分の都合で決めるべきであろう。

 私の住む金沢は,冬は雪が多く,カリフォルニアとの気候の差が著しい。それを考えれば,7月に受けるべきであったかなと反省もしたりした。


・外国人弁護士資格での受験生の合格率だけを比較すると,下記の通り,ごくわずかであるが2月の方が合格率が高い。
・また2月の方がMBEの平均点が常に低く全体のレベルは低い。よって,悪い答案でも良く評価される可能性が高い。
この2点が,2月の方が受かりやすいという私の推測の理由である。
  7月 2018年 12.7%
     2017年 21.0%
     2016年 12.3%
     2015年 13.8%
  2月 2018年 16.1%
     2017年 15.9%
     2016年 16.1%
     2015年 22.9%

posted by 内田清隆 at 15:37| Comment(0) | TrackBack(0) | その他