判例は不要
過去10年で一つだけ,複数の最高裁判例を分析したうえで論じている憲法のsample answerがあった。
しかし,ほとんど全てのsample answerでは判例について触れていない。
よって,判例についてエッセーで触れることは不要であるし,加点にすらならない可能性も高い。
条文番号はごく一部以外は不要
憲法については多くのsample answerで条文があげられている。よって,憲法にはついては条文番号をあげるべきであろう。
証拠法についても,Prop8, FRE403, CEC352だけは条文番号があげられていることが多いし,それが加点になるという情報もネットで見たことがある。大した労力ではないので,それだけは,条文番号をあげておくべきだろう。
その他については,条文番号をあげても加点されないと思う。
民事手続についても,たまに条文あげているものもみたが,多くはあげていない。間違えるリスクやそれに要する時間を考えれば条文番号はあげるべきでないだろう。
法律名も不要
法律名,規則名はABAを除き一切あげる必要がない可能性が高い。私は,そこには配点はないというネット記事をみつけ,また,あげていないsample answerも多かったので,上記条文番号をあげるとき以外は一切法律名,規則名はあげなかった。
あげるとなれば,その分時間が取られるので,加点がないのであれば,あげないで済ませたい。
法の趣旨も不要
日本であれば,ルールの根拠(rationale), つまり「法の趣旨」を論文では書くのが普通である。しかし,カリフォルニア州司法試験でこれを書いている人はほとんど見ないので,あげるべきではないだろう。
むしろ,ついついあげてしまわないように,法の趣旨はあまりきちんと覚えないようにしていた。
改正前の法律は,まず不要
コミュニティープロパティ―で顕著であるが,事案の発生日が,法改正前か改正後かで結論が変わる場合がある。その場合,改正前の法律についても議論する必要があるかという問題がある。しかし,議論していない答案が多数であり,議論不要であろう。
少なくとも過去15年間ほどの問題を見たが,出題においては,すべて現行法が適用されている。そのため,そもそも勉強段階においては,改正前の法律は勉強せずに,現行法だけに勉強に集中させるべきだと思う。この点は,改正前も議論すれば,加点にはなるとは考えているが,essayでそこまで高得点を目指すことが私にはできなかった。
もっとも,今後意表をついて,改正前の法律が適用されることがないとはいえないし,改正前法律も言及すれば,加点にはなりそうなので,余裕があれば勉強し指摘したい(しかし,カリフォルニア州司法試験の勉強で余裕がある人はほとんどいないであろう)。
その他のソースも無視すべき
判例にしても条文にしても,ルールにソースをあげないのは,日本人的にはいい加減で落ち着かない。
しかしながら,カリフォルニア州司法試験ではソースをあげないのが基本なので,ソースも根拠もなく,いきなり当然のごとくルールを書くことに慣れる必要がある。
2019年10月11日
エッセーで必要な文字数
sample answerやbaressays.comで高得点をあげている回答を見ると,高得点(70点以上)を出すには1200〜1500語が必要そうである。また,900語平均であれば,65点(合格点)を取ることは可能であると思う。しかし,その場合は,余事記載は許されない。
カリフォルニア州司法試験のエッセーでは,余事記載には減点がないので,とにかく論点かもしれないと思われるものは,全部書くのが良いとされている。しかし,その作戦で合格点を取るには,やはり1200語ぐらい書ける能力が欲しい。
私は,受験半年前の段階では平均600語ぐらいしか書けず,受験時になっても残念ながら平均900語ぐらいしか書けるようにならなかった(本番は950語くらいまでいけたかもしれない)。もう少し,少ない語数(例えば平均800語)しか書けなくても,合格は可能だと思うが,書ける量が少なくなればなるほど,短い文章で,余事記載なく的確に書かなければいけなくなり,ハードルはどんどんあがっていく。
自分の場合は,基本的に余事記載(点にならない論点issueの記載)は,許されて一つという感じであった。そのため,通常以上に, 論点抽出issue spottingの正確性が要求された。しかし,自分にとっては,早く英語の文章を書く能力を身につけるよりは,正確な論点抽出の方がまだ楽であった。
なお,合格点に必要な語数は,出題内容によって大きく異なる。600語で足りる問題もあるし,1200語欲しい問題もある(模範解答例の長さの差をみれば,一目瞭然である)。上記はあくまでも平均である。
そのため,回答にあたっては,必要な長さを考えて書くことも重要である。問題文を読んで,おおよそ必要な長さを理解し,それに合わせて,適宜,省略気味に書く技術である。
よほど早く英語を書ける人以外にとっては,カリフォルニア州司法試験のエッセーは常に時間との勝負である。その中で,多くの問題を実際に書いてみて,1時間で自分が書ける量についての体内時計を作っていくことが重要だと思う。
試験後すぐに,その能力は失われてしまったが,試験当日は,「このぐらいの勢いで書いていくと何語ぐらいで何分ぐらいで終わるな〜」というのが的確に予想できていた。そんな体内時計を作るためには,やはりきちんと時間を測りながら多くの問題を解くのが重要だろう。
カリフォルニア州司法試験のエッセーでは,余事記載には減点がないので,とにかく論点かもしれないと思われるものは,全部書くのが良いとされている。しかし,その作戦で合格点を取るには,やはり1200語ぐらい書ける能力が欲しい。
私は,受験半年前の段階では平均600語ぐらいしか書けず,受験時になっても残念ながら平均900語ぐらいしか書けるようにならなかった(本番は950語くらいまでいけたかもしれない)。もう少し,少ない語数(例えば平均800語)しか書けなくても,合格は可能だと思うが,書ける量が少なくなればなるほど,短い文章で,余事記載なく的確に書かなければいけなくなり,ハードルはどんどんあがっていく。
自分の場合は,基本的に余事記載(点にならない論点issueの記載)は,許されて一つという感じであった。そのため,通常以上に, 論点抽出issue spottingの正確性が要求された。しかし,自分にとっては,早く英語の文章を書く能力を身につけるよりは,正確な論点抽出の方がまだ楽であった。
なお,合格点に必要な語数は,出題内容によって大きく異なる。600語で足りる問題もあるし,1200語欲しい問題もある(模範解答例の長さの差をみれば,一目瞭然である)。上記はあくまでも平均である。
そのため,回答にあたっては,必要な長さを考えて書くことも重要である。問題文を読んで,おおよそ必要な長さを理解し,それに合わせて,適宜,省略気味に書く技術である。
よほど早く英語を書ける人以外にとっては,カリフォルニア州司法試験のエッセーは常に時間との勝負である。その中で,多くの問題を実際に書いてみて,1時間で自分が書ける量についての体内時計を作っていくことが重要だと思う。
試験後すぐに,その能力は失われてしまったが,試験当日は,「このぐらいの勢いで書いていくと何語ぐらいで何分ぐらいで終わるな〜」というのが的確に予想できていた。そんな体内時計を作るためには,やはりきちんと時間を測りながら多くの問題を解くのが重要だろう。
2019年10月08日
MBEで高得点をあげるには
エッセーは人間が採点するので,かなり主観的に採点されているというのはよく聞く話だ。その証拠に,first readとsecond readで,点数の差が著しかったという話もよく聞く。
私は,そもそも英語力の問題でessayで高得点をあげるのは不可能であったが,採点者の主観的判断によって運悪く合格できないといった事態を避けるためにも,MBEで高得点を目指すというのは,必要な戦略なのであろう。
私は,最終的には,MBEで高得点をあげられるようになったと思うし,掲示板などを見てみると,MBEで苦戦している人も多く,MBEでの高得点が合格できた大きな理由の一つであったと思う。
私が取り組んだのは,多くの人と同様Adaptibar, Emanuel, Barbri問題集である。3000問ほどやったが,MBEは一定のパターンがあるので,まずは多くの問題に取り組むことが大切だと思う。
それ以前に重要なことは,当然のことながら,各科目をきちんと理解していることかと思う。Emanuelは,MBEに必要な様々な「技術」を教えてくれるし,多くの問題をやることで様々なコツ=技術が身につく。
しかし,小手先の技術で5〜10問は正解を増やすことはできても,基本的な理解がなければ,限界があることは当然だ。
高得点を取るためには,まずは,講義を聞いたり,基本書を読んで判例を読んだりという当たり前の勉強をして「理解」することが重要ではないかと思う。
自分としては,他の受験生よりやったのでは?と考えていることは,分からない部分を時間をかけて調べるという行為である。
平均1日20問を解いたが,問題を解いて回答を見るという作業は1時間で終わらせた。一方で,復習は1時間,場合により2時間,3時間とかけてじっくり行った。
理解できないことがあると,根本に戻り,条文・判例・論文を調べ,それらをまとめてノートに書いて,同ノートをきれいにまとめ,定期的に復習するという作業である。
受験直前は,そのような遠回りの作業に時間をかけ過ぎたかと思い反省していたが,遠回りなようでもそれが高得点に結びついたのかもしれないと受験が終わってから思ったりもした(一方で,やっぱり遠回りだったかなとも思っており,よく分からない)。
なお,そもそもとしてMBEで何点を目指すのかという目標設定が重要だと思う。
私は,とにかく英語力の問題でエッセーに自信がなかったため,MBEでどうしてもかなりの高得点が取れないと合格はあり得ないと思っていたので,MBEで高得点を目指す勉強に相当の時間をかけるしかないと思っていた。
しかし,エッセーで70点が取れるのであれば,MBEは6割できればいいと考えることができるのであれば,上記のような勉強は,遠回り過ぎかもしれない。
私は,そもそも英語力の問題でessayで高得点をあげるのは不可能であったが,採点者の主観的判断によって運悪く合格できないといった事態を避けるためにも,MBEで高得点を目指すというのは,必要な戦略なのであろう。
私は,最終的には,MBEで高得点をあげられるようになったと思うし,掲示板などを見てみると,MBEで苦戦している人も多く,MBEでの高得点が合格できた大きな理由の一つであったと思う。
私が取り組んだのは,多くの人と同様Adaptibar, Emanuel, Barbri問題集である。3000問ほどやったが,MBEは一定のパターンがあるので,まずは多くの問題に取り組むことが大切だと思う。
それ以前に重要なことは,当然のことながら,各科目をきちんと理解していることかと思う。Emanuelは,MBEに必要な様々な「技術」を教えてくれるし,多くの問題をやることで様々なコツ=技術が身につく。
しかし,小手先の技術で5〜10問は正解を増やすことはできても,基本的な理解がなければ,限界があることは当然だ。
高得点を取るためには,まずは,講義を聞いたり,基本書を読んで判例を読んだりという当たり前の勉強をして「理解」することが重要ではないかと思う。
自分としては,他の受験生よりやったのでは?と考えていることは,分からない部分を時間をかけて調べるという行為である。
平均1日20問を解いたが,問題を解いて回答を見るという作業は1時間で終わらせた。一方で,復習は1時間,場合により2時間,3時間とかけてじっくり行った。
理解できないことがあると,根本に戻り,条文・判例・論文を調べ,それらをまとめてノートに書いて,同ノートをきれいにまとめ,定期的に復習するという作業である。
受験直前は,そのような遠回りの作業に時間をかけ過ぎたかと思い反省していたが,遠回りなようでもそれが高得点に結びついたのかもしれないと受験が終わってから思ったりもした(一方で,やっぱり遠回りだったかなとも思っており,よく分からない)。
なお,そもそもとしてMBEで何点を目指すのかという目標設定が重要だと思う。
私は,とにかく英語力の問題でエッセーに自信がなかったため,MBEでどうしてもかなりの高得点が取れないと合格はあり得ないと思っていたので,MBEで高得点を目指す勉強に相当の時間をかけるしかないと思っていた。
しかし,エッセーで70点が取れるのであれば,MBEは6割できればいいと考えることができるのであれば,上記のような勉強は,遠回り過ぎかもしれない。
情報収集
アメリカのロースクールに行っていないと,「日本人として」どのようにカリフォルニア州司法試験を受験したらよいかについて,情報が少なく大変苦労した。
その中で非常に助けられたのは,日本人受験生がインターネットにあげている情報である(検索すれば,たくさん見つかる。)。まずは,これで情報収集をしたい。
アメリカ人が書いたものはたくさん見つかるが,一番情報量が多いのが以下の掲示板だと思う。何でも出ている。http://www.top-law-schools.com/forums/viewforum.php?f=41
ただし,掲示板という性質上,ソースが不明な玉石混交の情報にあふれている。読みだすと非常に面白くて読み進めてしまうので,もしかするとあまり見ない方がいいのかもしれない。
JD Advisingというサイトがエッセーのコツなど色々と役立つ情報を公開している。商業サイトではあるが内容は信用できる。ある意味受験生であれば当然のつまらない情報ばかりだが,知っておくべき内容ばかりともいえる。
エッセーの過去問については,多くの本では模範解答が出ているだけでほとんど解説がない。しかし,インターネットで調べてみると,解説してくれている動画を多数みることができるので,これでエッセーへの取り組み方を学んだのも非常に勉強になった(ただし,これも玉石混交。公式sample answerですら間違いが堂々と記載されている世界であり,正しいかどうかは最終的には自分できちんと裏付けを調べる必要がある。ただ,逆にいえば,その程度の正確性でOKということを理解して,雑な感じで勉強していく方が効率はいいと思う。)。
その中で非常に助けられたのは,日本人受験生がインターネットにあげている情報である(検索すれば,たくさん見つかる。)。まずは,これで情報収集をしたい。
アメリカ人が書いたものはたくさん見つかるが,一番情報量が多いのが以下の掲示板だと思う。何でも出ている。http://www.top-law-schools.com/forums/viewforum.php?f=41
ただし,掲示板という性質上,ソースが不明な玉石混交の情報にあふれている。読みだすと非常に面白くて読み進めてしまうので,もしかするとあまり見ない方がいいのかもしれない。
JD Advisingというサイトがエッセーのコツなど色々と役立つ情報を公開している。商業サイトではあるが内容は信用できる。ある意味受験生であれば当然のつまらない情報ばかりだが,知っておくべき内容ばかりともいえる。
エッセーの過去問については,多くの本では模範解答が出ているだけでほとんど解説がない。しかし,インターネットで調べてみると,解説してくれている動画を多数みることができるので,これでエッセーへの取り組み方を学んだのも非常に勉強になった(ただし,これも玉石混交。公式sample answerですら間違いが堂々と記載されている世界であり,正しいかどうかは最終的には自分できちんと裏付けを調べる必要がある。ただ,逆にいえば,その程度の正確性でOKということを理解して,雑な感じで勉強していく方が効率はいいと思う。)。
新しい情報の必要性
原則古くてOK
基本的にカリフォルニア州司法試験の出題の基本となる法律は大きく変わっていない。20年前の資料でも普通に役立つし,多くの科目は10年前の教材でも十二分である。
というのも,カリフォルニア州司法試験は,基本的にはコモンローから出題されるが,コモンローは長年,蓄積されていた裁判例の積み重ねの上にある基本原則であるため,数年で変わるということはあり得ないからである(加えて,試験自体いい加減なところが多く,多少の誤りは減点にすらならないというのもある)。
5年も前の予備校教材を利用する人はいないだろうが,それでもほぼ問題はないし,1〜2年前の予備校教材であれば全く問題はない(除く弁護士倫理のCA new rule)。
また,最新の最高裁判例や法律変更を追いかける必要もなく,本に出ている範囲で覚えれば十分だ。2017年発刊の本に2016年の重要な最高裁判例が載っていたりすると,新しい重要判例がないか心配になるが,そのようなところから出題されたことは,知る限り(つまりこの20年ぐらい)はない。
ネットによる情報だが,最新の判例が出たとしても数年は出題されないといわれているらしい。
とはいいつつ,いくつかの科目では,古い資料では問題がある場合もあるので,以下,科目ごとの注意点である。
新しい情報が不要な科目
契約法,不動産財産法,刑法,商組織法は,この20年大きく変わっておらず,古い本や資料であっても完全に問題がない。信託法も同様である。
信託法は,2000年に従来のルールと相当に異なる統一信託法が公表され各州で採用が進み,従来のリステイトメントから大きく変わった第三次リステイトメント2012年に公表されるなど,現代化が進んでいる。そのため,本質からいえば新しい資料から学ぶべきである。
ただ,信託法が相当に変化しているとはいえ,カリフォルニア州司法試験でその理解まで必要があるのかは微妙なところで,「高得点を目指す人は新しい資料に目を通して得になることがほんの少しはあるのかな〜」といった程度であろう。
不法行為法は,コモンローがベースであり古い本でもよいが,製造物責任の考え方が20年前とは大きく変わっているので,10年以上前の資料は微妙な場合もある。
商組織法は,法律は頻繁に変わっているのだが,問題に出るのは,変わることのない基本部分である。そのため,20年前のものでもよさそうであり,10年以内のものであれば十分だ。
リメディ―も法源は基本コモンローである。ただUCCや最高裁判例も視野に入れる必要があり,20年前のものでは少し古すぎるかもしれない。とはいえ,10年以内のものであれば十分だ。
新しい情報が必要な科目
弁護士倫理→憲法・刑事手続→遺言・夫婦共有財産,証拠法→民事手続の順番で,割と新しい本がいい。
弁護士倫理については, CA ruleが2018年に大改正をされたため,そちらについては必ず最新のもの(2019年以降)を入手する必要がある(CAruleはほぼ毎回出題される)。
ただ,恐らく良い本はまだないので,まずは規則原文を確認し,その他には,予備校本かネットでまとめを探す必要がありそうである。
ABAについては,改正は適宜あるが,大改正はないと思うので5年前のものでも十分そうだ。
憲法・刑事手続は,最高裁判例が法源で,次々と重要な判例が出るので,新しいものが必要である。
最新の判例からは出題されないので最新のものである必要はないが,できれば2〜3年以内,最悪でも5年以内の資料を参考にすべきだろう。
遺言,夫婦共有財産は,適宜改正がされるカルフォリニア州制定法が法源である上,重要な州最高裁判例なども出ているため,2〜3年以内に出版された新しい本の方が良いことは確かだ。
ただし,MBE科目などと比べて,新しい点が,出題される可能性が非常に低いため,実際には古い本であっても影響はまずない。
証拠法は連邦法,CA法とも定期的に改正されており,重要な最高裁判例も出ているため,5年以内のものを利用したい。
民事手続も,主法源であるFRCPが2007年に大改正が行われており,頻出のpersonal jurisdictionについては最高裁判例が法源とされ,割と揺り動いているため,少なくとも10年以内,できれば5年以内に出版されたものが安心である(Ca民訴については勉強不足で分からない)。
基本的にカリフォルニア州司法試験の出題の基本となる法律は大きく変わっていない。20年前の資料でも普通に役立つし,多くの科目は10年前の教材でも十二分である。
というのも,カリフォルニア州司法試験は,基本的にはコモンローから出題されるが,コモンローは長年,蓄積されていた裁判例の積み重ねの上にある基本原則であるため,数年で変わるということはあり得ないからである(加えて,試験自体いい加減なところが多く,多少の誤りは減点にすらならないというのもある)。
5年も前の予備校教材を利用する人はいないだろうが,それでもほぼ問題はないし,1〜2年前の予備校教材であれば全く問題はない(除く弁護士倫理のCA new rule)。
また,最新の最高裁判例や法律変更を追いかける必要もなく,本に出ている範囲で覚えれば十分だ。2017年発刊の本に2016年の重要な最高裁判例が載っていたりすると,新しい重要判例がないか心配になるが,そのようなところから出題されたことは,知る限り(つまりこの20年ぐらい)はない。
ネットによる情報だが,最新の判例が出たとしても数年は出題されないといわれているらしい。
とはいいつつ,いくつかの科目では,古い資料では問題がある場合もあるので,以下,科目ごとの注意点である。
新しい情報が不要な科目
契約法,不動産財産法,刑法,商組織法は,この20年大きく変わっておらず,古い本や資料であっても完全に問題がない。信託法も同様である。
信託法は,2000年に従来のルールと相当に異なる統一信託法が公表され各州で採用が進み,従来のリステイトメントから大きく変わった第三次リステイトメント2012年に公表されるなど,現代化が進んでいる。そのため,本質からいえば新しい資料から学ぶべきである。
ただ,信託法が相当に変化しているとはいえ,カリフォルニア州司法試験でその理解まで必要があるのかは微妙なところで,「高得点を目指す人は新しい資料に目を通して得になることがほんの少しはあるのかな〜」といった程度であろう。
不法行為法は,コモンローがベースであり古い本でもよいが,製造物責任の考え方が20年前とは大きく変わっているので,10年以上前の資料は微妙な場合もある。
商組織法は,法律は頻繁に変わっているのだが,問題に出るのは,変わることのない基本部分である。そのため,20年前のものでもよさそうであり,10年以内のものであれば十分だ。
リメディ―も法源は基本コモンローである。ただUCCや最高裁判例も視野に入れる必要があり,20年前のものでは少し古すぎるかもしれない。とはいえ,10年以内のものであれば十分だ。
新しい情報が必要な科目
弁護士倫理→憲法・刑事手続→遺言・夫婦共有財産,証拠法→民事手続の順番で,割と新しい本がいい。
弁護士倫理については, CA ruleが2018年に大改正をされたため,そちらについては必ず最新のもの(2019年以降)を入手する必要がある(CAruleはほぼ毎回出題される)。
ただ,恐らく良い本はまだないので,まずは規則原文を確認し,その他には,予備校本かネットでまとめを探す必要がありそうである。
ABAについては,改正は適宜あるが,大改正はないと思うので5年前のものでも十分そうだ。
憲法・刑事手続は,最高裁判例が法源で,次々と重要な判例が出るので,新しいものが必要である。
最新の判例からは出題されないので最新のものである必要はないが,できれば2〜3年以内,最悪でも5年以内の資料を参考にすべきだろう。
遺言,夫婦共有財産は,適宜改正がされるカルフォリニア州制定法が法源である上,重要な州最高裁判例なども出ているため,2〜3年以内に出版された新しい本の方が良いことは確かだ。
ただし,MBE科目などと比べて,新しい点が,出題される可能性が非常に低いため,実際には古い本であっても影響はまずない。
証拠法は連邦法,CA法とも定期的に改正されており,重要な最高裁判例も出ているため,5年以内のものを利用したい。
民事手続も,主法源であるFRCPが2007年に大改正が行われており,頻出のpersonal jurisdictionについては最高裁判例が法源とされ,割と揺り動いているため,少なくとも10年以内,できれば5年以内に出版されたものが安心である(Ca民訴については勉強不足で分からない)。