しかし,もっとも出題頻度が高く,もっとも難しい論点であり,きっちり抑えてしまう必要がある。
・基本最高裁判例ルールであり,成文法に基づかない。
・最高裁判例のルールが幅広く解釈でき,意味がよく分からない。
ため,PJルールについては,本によって,統一されていないという理解がまず重要だ。
色々な本を読むたびに,違うことが書いてあって,混乱してしまう。
しかし,カリフォルニア州司法試験においては,一般的にルールは重要ではない。ましてや,諸説あるPJルールについては,何を書いても正解であり,どんなものでもいいので,信用できる本に書いてある論点をまず覚えるという作業が必要になる。
また,PJルールについては,最高裁が使った難解単語が良く使われ,それ同ルールを難しくしているのだが,それらの単語はキーワードである場合も多い。あきらめてそのまま単語を覚えた方が得策だ。
受験界通説とやや異なるのだが,私なりの理解は以下の通りである。
(なお,厳密には,PJには,in personam jurisdictionとin rem jurisdictionがあるのだが,後者はほとんど試験に出ないので前者だけ覚えればいいだろうと。)
州法と憲法で定まる
PJは,連邦裁判所においても、訴訟が提起されたA州の法律によって決まる。PJは最高裁判例とルールと書いたが,実は一義的には,州法が定めるルールである。
しかし,ハワイ州法が「ハワイの州民であれば,相手がどこに住んでいても,どんな事件でもハワイの裁判所に訴えることができる」という自州民ばかり利益を与えるものであっても良いのか?という問題がある。
そこで最高裁は,基本的にはA州の法律によってPJは決まるが,憲法上の限界があり,上記のハワイ州法のような法律は憲法違反として許されないとした。
よって,PJは@州法の範囲内でA憲法の範囲内である場合に認められるということになる。
Aの範囲を決めるのが最高裁判例ルールであるわけだが,そちらがより重要なのである。
しかも,カリフォルニアを含めて多くの州では,「相手がどこに住んでいても,どんな事件でも,憲法上の限界の範囲内で,うちの州の裁判所に訴えることができる」(long arm statute)という州法を作っている。
そうなると州法の限界=憲法上の限界となり,最高裁判例がそのまま州ルールになる。
ただし,理論的には@州法の範囲内かA憲法の範囲内かの両方が論点となり,@についても原則としてエッセーには書くことが要求される。
伝統的には?
伝統的には,@被告の本籍地(ドミサイル),A被告が送達を受けた州,B被告が同意をした州にのみ管轄が認められるとされてきた。これらについては,どの州も管轄を認めており,憲法上も問題がないことは争いがない。
そのため,エッセーで,伝統的解釈で切れることはまずあり得ないのだが,あっさりとであっても伝統的解釈も触れる必要がある。
憲法上の限界
最高裁は,憲法上の限界について「伝統的なフェアプレー精神と実質的正義」"traditional notions of fair play and substantial justice."を害さないだけの最小限の接触minimum contactsがあれば,PJは認められるとした。
分かりづらく,ほとんど意味のない定義だが,エッセーでは書いておいた方がよさそうだ。
ただ実際上の問題は,どれだけ接触があれば,正義を害さないかである。
この点,最高裁は二つに分けて論じている(ここからやや受験界通説の整理と違う。しかしsample answerにもあった整理であり減点されることはない)
一般裁判権 general jurisdiction
一つ目は,事件の内容とは異なり,被告の属性だけで,認められるPJ,general jurisdictionである。
最高裁によれば,when there are so systematic and continuous activity of the defendant in the state as to render the defendant essentially at home in the forum state. のときに認められるとされる。
この定義もよく分からないし,実質的な意味はない。
ただ、最高裁が一般裁判権に基づき管轄を認めているのは,本店がある場合や設立された州がある場合(伝統的に本籍地として管轄が認められる場合)ぐらいである。
そのため,エッセーでこの論点でも切られることもまずないのであっさりと書いておけば足りる。
個別裁判権 specific jurisdiction
よって,実際上エッセーで問題となるのは,ほぼ個別裁判権だけである。どんな「被告」ならばではなく,どんな「事件」ならPJが認められるかという問題だ。
最高裁は,purposeful availment of the privilege of conducting activities within the forum Stateやらforeseeable to be haled into courtやら難解で分かりづらい単語で要件を定義する。
availmentは辞書による「利益」の古語のようなのであるが,恐らくは「利用」という意味では使っているのかと思う。いずれにしても,個別の要件の定義は,適当な英語を丸暗記するしかないと思う。キーワードはpurposefulとforeseeableであり,この二つの単語さえ使えば,減点もないだろう。
定義の意味は,最高裁もあまりはっきりさせていないため,諸説あるのだが,@同州との故意的接触から生じた事件で,A被告が同州で訴訟提起を予想可能である場合,という感じの意味である。
この部分については,エッセーでは,あてはめに必要な事実がちりばめられていることが多い。そのため,あてはめ(あるいはあてはめている振り)をしっかりとする必要がある。
正義の概念
エッセー的には,最後に,「証拠の場所,他州での救済の可能性・・・などなど多数の要件から公平を害さないといえることがPJを認めるには必要」というルール※を書き,あてはめをする必要がある。
要件を全部覚えて,きちんと当てはめをすれば高得点が狙える。しかし,そこまでやるのと非常に書くことが多くなってしまうので悩ましいところでもある。ただ,この部分,あてはめにそれなりの点数が振られている可能性も高いので,ルールをきちんと暗記していなくても,「公平か?」という点は,しっかりと記載すべきである。
もっとも,最高裁がそのような付加的要件を課しているのかあまり明確でなく,この要件を考慮しないことも多い。そのため,エッセーでこの要件で切るべき問題(他の要件は満たすも本要件を満たさないのでPJは認められないという結論になる問題)はまず出ないだろう。
※1)burden on Defendant 2)Plaintiff's interest 3)interest of the Forum Stateを比較衡量するというのが分かり易くてよいと思っているが正解がなのかはよく分からない。
まとめるとPJは
@州法+憲法の範囲内で認められる。
A伝統的でない場合はミニマムコンタクトが憲法上必要となる。
Bミニマムコンタクトはessentially at homeと言え一般的管轄がある場合以外は,purposeful availmentとforeseeabilityが必要。
Cさらに諸要素を考慮して公平を害さないことも必要
ということになる。
上記の通りまとめ方についは諸説あり,上記は受験界通説とは少し違う論理順である。しかし,ルールはいつものごとくいい加減でいいし,特に明快な判例がないので,上記で,ルールでの減点はない。
ただ,いずれにせよ,@州法,Aミニマムコンタクト,Bessentially at home, purposeful availmentとforeseeability, C公平=fairnessの全てがissueとして点が振られているので,そのすべてに言及の必要があるという,大変な論点である。
実は,民訴においては,出現頻度は低いが過去にも一度出されているvenueが論点になった場合が一番大変だ。
法令上「PJがあればvenueが認められる」というルールがあるためvenueを全面的に論じるには,venue固有の論点をすべて論じるとともに,PJを全部論じる必要があり,非常に多くのことを論じる必要が出てくる。
そのため,非常に大変なのであるが,同論点をすらすらと書けるようになれば,民訴civil procedureのもっとも困難なところを抜けることができる。
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